電池関連規則・輸送規則の最新動向を見逃さない:効率的な情報収集手法とは
電池産業は急速に拡大しており、電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵システム(ESS)の需要増加が市場を押し上げています。例えば、2023年のEV用電池販売量は約865GWh(パック価値ベースの市場規模は約1,320億ドル)、ESS向けリチウムイオン電池の出荷は約185GWhに達しました。
しかし、この成長とともに、各国の電池関連規則や輸送規則も更新が続き、コンプライアンス担当者の負担は増大しています。特に、UN38.3(国連危険物輸送勧告の試験基準)やIATA DGR(国際航空運送協会危険物規則)の改訂は、製造から物流まで幅広い事業者に直接影響するため、最新情報の迅速な把握が事業継続の鍵となります。
電池関連規則・輸送規則とは何か
UN38.3:リチウム電池の安全性試験基準
UN38.3は、国連「危険物の輸送に関する勧告—試験及び基準に関するマニュアル(UN Manual of Tests and Criteria)」Part III, sub-section 38.3に規定された、リチウム金属電池およびリチウムイオン電池の輸送前試験の基準です。マニュアルは随時改訂され、現行は第8改訂版(Rev.8)が公開されています。
同規則では、8つの試験(T.1〜T.8)—「高度(低圧)」「温度」「振動」「衝撃」「外部短絡」「落球衝撃/圧潰(セルの形状により適用)」「過充電」「強制放電」—が規定されています。
また、近年はTest Summary(試験要約)の提供義務が各国規制に取り込まれており、UN38.3自体に試験レポートの保存年数の規定はありません。試験要約(38.3.5)は入手可能な形で提供することが求められ、保存年限は各国法や品質システムの要件に委ねられます(米国PHMSAの最新ガイダンスも参照)。
IATA DGR:航空輸送における危険物規則
IATA DGRは毎年改訂され、現在適用中の最新版は2025年版(第66版)です(2025年1月1日から適用。4月30日付のアドエンダも発行済み)。
リチウム電池の航空輸送は、梱包指示書PI965〜970等で詳細に規定され、“小型”の閾値として一般にリチウムイオンはセル20Wh/バッテリー100Wh、リチウム金属はセル1g/バッテリー2gが用いられます。これを超えると梱包・表示・書類の要件が厳格化します(実務はPI各セクションの条件に従う)。
損傷・欠陥のあるリチウム電池は、特別規定A154により航空輸送が禁止されています。
その他の主要な電池関連規則
欧州では、新電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)が2023年8月に発効。炭素フットプリント関連は段階導入で、一般に2025年〜宣言、2026年〜クラス分け、2028年〜しきい値と整理され、バッテリーパスポートは2027年2月18日から適用開始と周知されています。
米国では、CPSC(消費者製品安全委員会)が2025年4月に「マイクロモビリティ製品のLi-ion電池安全基準NPR(案)」を可決しましたが、その後撤回の動きもあり、現時点で連邦レベルの最終規則は成立していません。「UL2056/UL2089の適合義務化」といった断定はできません。
カリフォルニア州では、電池内蔵製品(CBE)に関する緊急規則が2025年1月1日に発効し、恒久規則の策定が進行中です(AB 2440関連)。「2024年から開始」の表現は2025年1月1日発効へ修正します。
中国では、2024年に工業情報化部(MIIT)がリチウム電池産業の“過度な能力拡張抑制”等を盛り込んだ指針/案を公表しており、プロジェクト立地の規制強化や品質・安全の高度化が打ち出されました。従来記載の「2023年5月に『危険化学品安全管理条例』改訂」は確認できないため、2024年のガイドライン/案の公表・施行に差し替えます。
どのような企業が電池関連規則の情報を必要とするか
電池メーカー・電子機器メーカー
電池の製造から最終製品への組み込みまでを手がける企業にとって、規則の更新情報は事業の根幹に関わります。大手メーカーでは、専任のレギュラトリーアフェアーズ部門を設置し、各国規制の動向を常時監視しています。
これらの企業では、新製品の開発段階から規制要件を織り込む必要があるため、実装まで一定のリードタイムが生じます。改訂のサイクルや適用時期は規格ごとに異なるため、公表直後から設計・試験計画に反映できる体制が重要です。
特に自動車メーカーにとって、電池関連規則は車両全体の安全性認証に直結するため、主要メーカーでは、サプライヤー管理の一環として電池規制の最新動向を厳格にチェックしています。
物流・商社・フォワーダー
国際物流企業では、輸送規則の変更は業務に即時影響するため、IATA DGRの年次改訂に合わせ、社内マニュアルや研修が実施されています。
総合物流企業では、規制情報のデータベース化・社内共有を進め、輸送可否の問合せに迅速対応しています。電池を含む製品の輸出入が増える中、誤認は高額損失につながり得るため、正確性と迅速性が求められます。
航空貨物フォワーダーは、IATA DGRのほか各航空会社の独自制限も把握が必要です。損傷電池の航空輸送は禁止(A154)が基本ですが、その他の電池条件は航空会社ごとの運用差もあり、最適ルート提案には最新情報が不可欠です。
効率的な電池関連規則情報の収集方法
従来の情報収集手法とその課題
各国規制機関のWebサイト巡回
国連(UNECE/UN)、IATA、各国規制当局のWebサイトを定期的に確認する方法です。ただし、更新は不定期で重要情報が分散し、見落としリスクがあります。業界誌・専門誌の購読
Battery Industry、Energy Storage Journalなど。専門性は高いものの、詳細な技術要件の掘り下げや速報性に限界がある場合があります。業界団体・セミナーへの参加
電池工業会(BAJ)、国際電池材料協会(IBA)等。直接の情報交換が可能な一方、参加コストや時間制約、地理的制約が課題です。
これら従来手法には、人的工数、網羅性・速報性の限界、コストの高さといった共通課題があります。
RSSフィードの活用と限界
規制機関のRSSを束ねる自動収集も有効ですが、RSS非対応/概要配信のみの情報源も多く、重要度の判別や詳細確認には結局人手が要ります。専門用語・各国語の壁も実務上のハードルです。
メール配信サービスの活用
IATAなど一部機関は、有償の更新情報配信やマニュアル購読(DGR/BSR等)を提供しています。たとえばDGRの最新版(第66版)は公式ストア等で購入でき、年次の重要改訂を反映しています。
AI活用による次世代情報収集サービスStation
これらの従来手法の課題を解決する革新的なアプローチとして、株式会社リバースタジオが提供する情報収集サービスStationがあります。Stationは、AIを活用してオンライン上のあらゆる情報を自動収集・分析し、企業の業務プロセスに最適化された形で情報を提供する次世代のRSSサービスです。
包括的な情報収集能力
Stationは、各国規制機関の公式サイト、業界団体の発表、専門誌の記事、学術論文など、電池関連規則に関するあらゆる情報源を24時間365日監視します。UN38.3、IATA DGR、EU電池規則、各国独自規制など、従来は複数の情報源を個別に確認する必要があった情報を、一元的に収集・整理して提供します。AIによる高精度な情報抽出
単純なキーワード検索とは異なり、StationのAIは文脈を理解して関連情報を抽出します。例えば、「リチウム電池」というキーワードから、関連する「リチウムイオン電池」「リチウム金属電池」「電池パック」「電池モジュール」などの情報も自動的に収集し、企業にとって重要な情報の見落としを防ぎます。業務プロセスに最適化された情報整理
Stationでは、収集した情報を企業の業務プロセスに合わせて分類・構造化します。製造業者向けには技術基準の変更点を重点的に、物流業者向けには輸送・梱包要件の変更を優先的に配信するなど、各企業のニーズに応じたカスタマイズが可能です。リアルタイムでの情報配信
従来の月次・四半期報告とは異なり、Stationは重要な規制変更を検知次第、即座に通知します。これにより、規制変更への対応準備期間を最大化し、コンプライアンスリスクを大幅に削減できます。
Stationは単なる情報配信サービスではなく、要件定義から活用まで専門家が伴走するコンサルティングサービスも包含しています。電池関連規制の専門知識を持つコンサルタントが、収集情報の解釈や対応戦略の策定を支援し、企業の規制対応能力向上を実現します。
まとめ
電池産業の急速な発展に伴い、UN38.3、IATA DGR、EU規則、各国独自規制などは継続的に更新・強化されています。これらの変更を見逃すことは、製品開発の遅延、輸送トラブル、規制違反といった重大リスクに直結するため、効率的かつ包括的な情報収集体制の構築が不可欠です。
従来の手動収集やRSS、メール配信だけでは、工数・網羅性・速報性・コストの課題が残ります。Stationのような先進的手法の活用により、包括的収集・高精度抽出・業務最適化・リアルタイム配信・専門家支援を組み合わせ、規制対応能力を飛躍的に高めることが可能です。
電池関連規則の複雑化と更新頻度の高まりが続く中、先進的な情報収集手法の活用は、競争力維持のための必須要件となっています。効率的な規制対応体制の構築を通じ、変化の激しい電池業界で持続的な成長を実現していくことが重要です。
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