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2025年9月1日

SDS・成分表示要件変更の情報収集:製品コンプライアンス・市場展開戦略

グローバル化学物質規制の強化と消費者安全意識の高まりにより、SDS(安全データシート)と成分表示要件の変更が、製造業の製品コンプライアンス管理と国際市場展開戦略に決定的な影響を与えています。

近年、主要国・地域でSDS・成分表示関連の制度改正や運用更新が相次いでいます。とりわけ、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に関する各地域の適用版や施行スケジュールが地域ごとに異なるため、同一製品であっても国・地域別にSDSやラベルの更新要件がずれる点に注意が必要です。SDSの更新遅延は、出荷・通関の遅延や停止、顧客取引への影響につながり得るため、先回りした改定監視と計画的な更新が実務の肝となります。

監視すべきSDS・成分表示要件の類型と特徴

GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の改定

  • 米国(OSHA):2024年にHazCom(HCS)最終規則が公表・施行され、主としてGHS改訂第7版(Rev.7)に整合。適合期限は段階的(例:物質は2026年1月19日、混合物は2027年7月19日、職場更新は2028年1月19日など)。

  • EU:CLP規則の改正(例:2024/2865)や、新ハザードクラス(内分泌かく乱・PBT/PMT等、2023/707)の導入が段階的に適用。一括してRev.9へ移行といった枠組みではなく、条文ごとの適用開始日・経過措置が設定されています。

  • 日本:JIS Z 7252/7253の次回改正は2025年見込み。施行・経過措置は今後の告示・JIS公表に依存。

  • 中国:SDSはGB/T 16483-2008およびGB/T 17519-2013等に準拠。MEE令12号(新化学物質環境管理登記弁法)は2021年1月1日施行済み。

GHS改定内容の例示(Rev.9/Rev.10等)

爆発物関連章の見直し、非動物試験データの活用拡大、予防(P)ステートメントの整理などが進んでいます。具体的な適用は各地域の国内規則改正を通じて行われるため、「GHSの版」=「自国での直ちの義務」ではない点を押さえてください。

EU REACH規則・CLP規則のSDS要件

  • 拡張SDS(eSDS)の記載の実務的要点

    REACH規則の運用では、曝露シナリオ(ES)の具体性と化学物質安全性報告書(CSR)との整合が強く求められています。用途・工程条件・リスクマネジメント措置のつながりをライフサイクル(使用・環境放出・廃棄等)で整合させることが重要です。

  • 混合物のSDS記載と企業秘密(CBI)の扱い
    混合物(調製品)では、含有成分の識別情報・濃度範囲・分類根拠の明確化が実務上重視されています。CBI適用は近年厳格化の傾向にあり、代替名称の使用可否や開示レベルは最新の実施指針と各国当局の運用を確認のうえ、過不足なく記載してください。

米国OSHA危険有害性周知基準(HCS)の更新

  • GHS Rev.7整合のHazCom 2024(最終規則)
    2024年に最終規則が公表・発効。分類(例:可燃性ガス・エアロゾル・脱感作爆薬など)の整合、SDS・ラベルの様式・文言の更新、移行の段階的期限が設定されました。

  • 職場の化学物質インベントリーとの連携
    法令上の新たな横断義務として一律に規定されたわけではありませんが、SDS更新に合わせ職場の化学物質台帳・教育・標識を同期するのは実務上のベストプラクティスです。トレーサビリティ(入替・廃棄履歴)の確保は監査・是正の観点からも有効です。

日本の化管法・安衛法に基づくSDS要件

  • PRTR制度対象物質の拡大とSDS

    PRTR(化学物質排出移動量届出制度)対象物質は2023年4月1日に515物質へ拡大しました。新規追加物質を含有する製品では、SDS提供や記載更新の要否を再点検してください。

  • 労働安全衛生法のリスクアセスメント対象拡大
    がん原性・変異原性等の対象物質は順次拡大しており、該当物質を含む製品のSDSでは第8項(ばく露防止及び保護措置)の具体化が実務上求められます。最新の告示・リスト更新と併せて、作業環境測定・PPE・局所排気等の措置を明瞭に示すことが重要です。

中国 新化学物質環境管理登記弁法のSDS要件

  • 中国版GHSと独自要件
    中国ではMEE令12号(2021年施行)の下、国内のGB規格に基づくSDSが求められます。環境有害性分類等で独自の運用があり、中国語での正確な危険有害性情報の記載が必須です。

  • 新化学物質届出とSDSの整合
    GB/T 16483等に基づくSDSは、登記(届出)の用途制限・推奨使用条件・放出制御措置と整合している必要があります。齟齬があると通関・販売に支障を生じる可能性があります。

業界別のSDS・成分表示要件変更情報活用シナリオ

化学メーカーの法務・品質保証部門

大手化学メーカーでは、地域差のある要件を同一テンプレートで吸収する設計と、地域別の更新カレンダー運用が鍵です。早期の法改正把握により、SDSテンプレートの事前更新と多言語翻訳の計画的実施が可能になり、出荷停止リスクの低減と管理工数の最適化につながります。新製品の海外展開では、開発初期から現地規制適合性を織り込むことで、市場投入の遅延を防げます。

電子機器・自動車メーカーの調達・サプライチェーン管理部門

電子機器や自動車メーカーでは、膨大な部材のサプライヤーSDSの最新性・適合性確認が不可欠です。要件変更により従来適合材料が新基準で規制対象となる場合は、代替材料評価と設計変更の前倒しが必要です。自動車の新車開発では量産まで18–24か月を要するため、先行対応が開発スケジュール確保の重要要素です。

商社・化学品流通業者の貿易・コンプライアンス部門

総合商社では、各国のSDS提出要件・言語要件の適合確認が通関の前提条件となります。中国向けは中国語SDSに加え、現地代理人による確認が実務上求められるケースが多く、要件変更を先取りした説明・代替提案により取引継続と新規機会創出が可能です。

製薬・化粧品メーカーの薬事・規制対応部門

製薬・化粧品メーカーでは、原料SDSの分類変更(例:生殖毒性・発がん性等)が、製品の注意表示や薬事手続に影響し得ます。サプライヤーとの安全性データ共有と製品影響の早期評価により、承認書変更や取扱い手順更新を計画的に行い、継続供給を確保します。

SDS・成分表示要件変更情報の主要収集源

国際機関・標準化団体の公式発表

  • 国連GHS専門家小委員会(UN SCEGHS)
    隔年の会合で改定内容と各国実施状況が議論され、次期改定の方向性が把握できます。

  • ISO/TC 47 化学製品技術委員会
    ISO 11014(SDS作成指針)は各国制度の直接義務ではないものの、参照され得る国際指針として有用です。

各国規制当局の政策文書

  • 欧州化学機関(ECHA)の実施指針
    REACH/CLPのガイダンスは、SDS作成の具体要件と事例を提示。混合物の分類・表示・包装やSDSコンパイル指針は実務必携です。

  • 米国EPA・OSHA等の公表資料
    TSCAやHCSの整合性・電子化に関する方針、HazCom 2024の最終規則・移行期限など、米国市場での実務上の論点を把握できます。

  • 日本(厚生労働省・経済産業省・環境省)の告示・審議会資料
    化審法・安衛法・化管法の連携強化の議論が継続。JIS改正やリスト更新の動向をフォローします。

従来の情報収集手法における課題と限界

  • 規制の多国間差異による対応複雑化

    SDS要件は各国・地域の制度に密接に連関するため、地域差の吸収が不可避です。相互影響を踏まえた更新設計が必要です。

  • 改定内容の実務への影響度評価の難易度

    GHS改定・SDS要件の技術的内容を製品別に落とし込む評価には、化学・法務・品質の横断知見が求められます。

  • タイムリーな情報更新の難しさ

    公表からSDS更新・配布までには一定のリードタイムが必要。重要情報の見落とし防止と優先度付けが鍵です。

AIを活用した次世代情報収集の実現

従来の人力による情報収集の限界を根本的に解決するため、AI技術を活用した包括的な情報収集ソリューションの導入が急速に進んでいます。

株式会社リバースタジオが提供する情報収集サービス「Station」は、業務プロセスに合わせて、あらゆる情報やデータをAIにより収集・活用する次世代のRSSです。オンラインに存在するあらゆるデータや情報を収集・処理し、SDS・成分表示要件の変更情報を包括的かつ効率的に収集します。

  • 高品質・効率的なSDS要件変更情報の提供
    国連GHS事務局、各国規制当局、業界団体の発表資料、技術標準化機関の文書など、SDS・成分表示要件に関連するあらゆる情報をニーズに合わせて提供します。従来のRSSや検索と比較して、圧倒的に高品質で効率的な情報収集を実現し、各国政府の審議会資料や業界団体の技術ガイドラインまで包括的に監視します。

  • 面倒なキーワード設定や情報フィルタリングが不要
    「SDS」や「安全データシート」というキーワードを起点に、「GHS」「REACH」「CLP規則」「化管法」などの関連用語はもちろん、「化学物質分類」や「危険有害性情報」「成分表示義務」などの専門用語を発見し、法務・コンプライアンス管理に関連する幅広い要件変更情報を漏れなく収集します。

  • あらゆる情報源からの包括的収集
    既存サービスでは対応できない、各国規制当局、国際機関、業界団体、標準化機関など、オンラインに存在するあらゆる情報を収集可能です。多言語対応により、英語・中国語・ドイツ語・フランス語等の海外規制機関発表も確実に把握できます。

  • ニーズに応じた柔軟な出力形式
    収集したSDS要件変更情報は、ニーズや用途に合わせて最適な形式で出力できます。改定内容はテーブル形式、重要な要件変更は要約表示とポイント構造化、施行スケジュールはガントチャート形式、システム連携用はCSVなど、業務プロセスに応じた柔軟な対応が可能です。

さらに、要件定義から活用までを伴走するコンサルティングサービスにより、企業のコンプライアンス戦略に基づいた監視対象の定義と情報活用方法の最適化をサポートします。既存の化学物質管理システムやPLMツールとのAPI連携により、SDS要件変更情報の収集から製品管理・出荷判断への反映まで一貫したワークフローを構築し、迅速な意思決定と製品の市場継続性確保を実現します。

まとめ

SDS・成分表示要件の変更情報を迅速かつ正確に把握することは、グローバル市場における製品コンプライアンス確保と国際競争力維持の必須条件です。数多くの要件変更の中から、自社製品戦略に影響する重要情報を抽出し、適切な対応策を期限内に実施する体制づくりが求められます。

重要なのは、地域ごとのGHS適用版と施行スケジュールの違いを前提に、EU(CLPの段階施行)・米国(HazCom 2024の段階適合)・日本(JIS改正見込み)・中国(GB規格+MEE令12号)を中心に国別の更新計画を切ることです。

従来型の人手中心の収集から、ワークフローに溶け込む自動収集・構造化へ移行することで、コンプライアンスリスクの早期回避と市場機会の最大化を同時に実現できます。情報収集の高度化をご検討の際は、ぜひStationの活用をご検討ください。

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